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瀬戸内的!本の紹介②


第2回「直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた」福武 總一郎 , 北川 フラム 著(現代企画室)

2010年から瀬戸内国際芸術祭が始まり、毎回100万人の人々が瀬戸内を訪れ、アート作品や島をめぐる旅を楽しんでいます。私たちこえび隊へも多くの方々がボランティアとして参加してくださり、回を重ねる度、世界中にこえびネットワークが広がっていっています。そんな中で、特に海外のこえびさんやガイドで島をご案内したお客さんに、毎回尋ねられる一言。「どうやって瀬戸内国際芸術祭ができてきたのですか?」。私としてはじっくり順を追って説明したいのですが、初めての芸術祭があった2010年。いやいや、その前の芸術祭実行委員会が設立した2008年。いやいや、その前の瀬戸芸の構想が立ち上がった2006年。いやいや、すでに四半世紀前の1992年からベネッセアートサイト直島が活動を始めていたのですよー。という話になってしまい、全編解説だと2時間超え必須。さらに、その中に島のおじいちゃんとのほっこりエピソード、行政マンやアーティストの奮闘記、こえびのドタバタ日記も含めると、もう、とまりません。というか、まとまりません。

開催趣旨やその社会的背景、時系列的にも体系的にもまとまった「瀬戸芸本」があちこちで、特にアジア圏で期待される中、芸術祭が3回目を迎えた2016年、満を持して発行されました。

その名も「直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた」

第1章は、総合プロデューサーの福武總一郎さんによる「アートは時代に対するレジスタンスだ」「在るものを活かして、無いものを創る」「経済は文化の僕」「幸せなコミュにティに生きる」の考え方。そして、それを実現してきた直島を中心に展開するアート作品や美術館についてを写真とともに詳しく書いています。驚くのは作品ひとつひとつに込められている福武さんの熱意がすごいこと!その作品にはどんな意味があり、どうゆう価値を見出し、それを島に展示するための努力と手間が綴られています。これを読むと、これまで「ふーん」と見てきたアート作品の見え方ががガラッと変わりますよ。

第2〜4章は、総合ディレクターの北川フラムさんによる文章。地域型芸術祭を生み・育ててきた北川さんだからこその視点で、わかりやすく解説しています。芸術祭の目的・方法論、美術の役割、展開事例と、地域型芸術祭の指南書のよう。注目するのは、第3章の2010年〜今まで10年間毎月、100回以上連載している四国新聞「瀬戸内物語」の文章や、会期中に発信していた「ディレクターコラム」から抜粋したもの40数篇。その時々、北川さんが何に興味をもって、注目して、面白がっているのかが分かるコラムです。さわら、いのしし、空海、西行に崇徳上皇、「岬めぐり」の歌、「椰子の実」の詩、珍しい地名や人名番付表、宮本常一から新進気鋭の現代アーティスト、海流や地形や天気まで。アートとはまるで関係なさそうなものばかりですが、その合間から垣間見る地域論・美術の考え方がとても勉強になります。これが瀬戸芸のウィングの広がりなのですね。最終章は、まだまだ過渡期の地域型芸術祭の課題や展望について述べています。

これからのART SETOUCHIの活動、次回の瀬戸内国際芸術祭に向けて、この本を読んでおくと、地域の捉え方、活動の楽しみ方が変わりますよ!瀬戸芸の奥深さが分かる、知って楽しい、行って嬉しい、こえび必読本2です!

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「直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた」福武 總一郎 , 北川 フラム 著(現代企画室)

<<合わせて読みたい>>

「ひらく美術: 地域と人間のつながりを取り戻す」北川フラム 著 (ちくま新書)

四国新聞 北川フラム連載「瀬戸内物語」

TEXT: 甘利彩子


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