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瀬戸内的!本の紹介①


第1回「忘れられた日本人」宮本常一 著(岩波文庫)

宮本常一さんは日本の民俗学者です。瀬戸内海に浮かぶ周防大島(山口県)に生まれ、1981年に73歳で亡くなっています。学者さんですが研究室でじっと研究に打ち込むのではなく、宮本さんは生涯に渡り日本中を歩き回りフィールドワークを続け、小さな集落の長老やおばちゃんや子供たちから話を聞き、写真を撮り、膨大な記録を残した人です。そして、その人々の話を書き綴った一冊が「忘れられた日本人」(岩波文庫)。パラパラとページをめくると、長老たちの話ががしゃべり言葉そのままに記されています。小さい頃、宮本さんはおじいちゃんこで、世間師だった厳しいお父さんに育てられ、優秀だったにもかかわらず家が貧しかったために中学校にいけず畑仕事をしていました。そして16歳になり島を出る日、お父さんから10の教えが送られます。その教えが宮本さんの民俗学という仕事に取り組む姿勢になっていきます。

(1)汽車に乗ったら窓から外を歩く人をよく見よ、田や畑に何が植えられているか、育ちがよいかわるいか、村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、そういうこともよく見ることだ。駅へついたら人の乗りおりに注意せよ。そしてどういう服装をしているかに気をつけよ。(後略)

(2)村でも町でも新しくたずねていったところはかならず高いところへ上がってみよ。そして方向を知り、目立つものを見よ。峠の上で村を見おろすようなことがあったら、お宮の森やお寺や目につくものをまず見、家のあり方や田畑のあり方を見、周囲の山々を見ておけ、そして山の上で目をひいたものがあったら、そこへはかならずいって見ることだ。(後略)

(3)金があったら、その土地の名物や料理はたべておくのがよい。その土地の暮らしの高さがわかるものだ。
(続きは「民俗学への旅」を読んでみてください)

ね、面白いでしょう。そんな視線で人々の話を聞き(きっと相手の目を見て話を聞いていたんだろうなぁ)、畦道や海辺を歩き見ていたんだろうと想像します。それは、私たちが島に行って「あれ?あの山の上にあるのはなんだろう?行ってみようかな?」とか、「この植物見たことない!」とか、「地元のものなんですね!食べてみたい!」という好奇心と一緒ですね。宮本常一さんは、そんな気持ちを生涯忘れなかったのだと思います。
宮本さんの姿勢がありありと伝わってくる「忘れられた日本人」。こえび隊の必読本です。

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「忘れられた日本人」 宮本常一 著(岩波文庫)

<<合わせて読みたい>>

「民俗学の旅」宮本常一 著 (講談社学術文庫)

四国新聞 北川フラム連載「瀬戸内物語」

TEXT: 甘利彩子


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